──「同じ予約時間に患者1人だけ」を大切にする理由──
歯科医院によって、歯科医師が1つの時間枠で診る患者さんの人数には大きな違いがあります。
ある医院では、1人のドクターに対して同じ時間に2人以上の治療予約を入れることがあります。
一方で、同じ時間には1人だけの治療予約しか入れない医院もあります。
では、どちらが“質の高い治療”を受けられる可能性が高いでしょうか?
私は、後者の「同じ時間に1人だけ」のスタイルのほうが、良い治療を提供できる確率が高いと考えています。
■ 同じ時間に複数患者を診る(たこ焼き診療)と、配慮は必然的に薄くなる
人間はどれだけ能力が高くても、同時に2つのことに100%の力を注ぐことはできません。
ましてや、4人も5人も同じ時間帯に診ていたら、それは「診ているようで実際はほとんど診れていない」という状態になりかねません。
1人の患者さんに向けて払える配慮、判断力、観察力、丁寧さは、人数が増えるほど分散してしまいます。
その結果、治療精度や満足度にも影響が出る可能性があります。
■ 「たこ焼き診療」が必要な場面もある
もちろん、同じ時間に2人以上診察することが必ずしも悪いとは言いません。
例えば以下のような場面では、どうしても同時並行が必要になります。
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強い痛みがある患者さんが急に来院した
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歯が折れた、腫れたなど緊急性が高い
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今対応しなければ大きな問題につながる
- 前の時間帯の患者さんの治療が長引いている
このようなケースでは、救急対応を優先しつつ、予約の患者さんも待たせ過ぎないように調整します。
医院として柔軟に動くことはとても大切です。
■ それでも当院が「同時に1人」にこだわる理由
当院では、基本的に同じ時間帯には1人の治療予約しか入れません。
その理由はシンプルで、
『せっかく予約をして時間を割いて来院してくださった患者さんを、とにかく大切にしたいから』です。
その時間は、
こちらも全力でその人の治療に向き合いたい。
「ながら治療」や「片手間の治療」ではなく、
全総力をその患者さんに費やすことが、結果として最高の治療につながると考えています。
もちろん、急患対応でどうしても同時に複数人を診る場面はあります。
しかしそれはあくまで例外であり、原則は「一人の患者さんに丁寧に向き合う」ことを大切にしています。
■ 最後に
歯科治療は、決して流れ作業ではありません。
患者さんごとに口の状態も、希望も、背景も違います。
だからこそ、
“目の前の一人を大切にする”という姿勢が、良い治療につながると私たちは信じています。
これからも、来院してくださる患者さん一人ひとりの時間を尊重し、
丁寧で誠実な診療を続けていきます。