「歯が痛くなったら歯医者に行けばいい」
そう思っている方も多いかもしれません。
もちろん、痛みが出たら歯科医院を受診することはとても大切です。
しかし、長い間歯科医院に行かず、むし歯や歯周病が進行して、口の中全体が大きく崩れてしまった場合、治療は一気に難しくなります。
実は、「悪くなったところを治せば終わり」ではないのです。
口の中が崩壊すると、何が大変なのか?
例えば、
- むし歯が何本も進行している
- 歯周病が進行して歯がグラグラしている
- 歯が何本も失われている
- 噛み合わせが大きく崩れている
- 入れ歯が合わない
- しっかり噛めない
- 食事がしにくい
- 長年の習慣によって、歯磨きがうまくできない
このような状態になっていると、一つの治療だけでは解決できません。
むし歯を治すだけでもなく、歯周病を治すだけでもありません。
歯周病治療、むし歯治療、根管治療、抜歯、被せ物、入れ歯、インプラント、噛み合わせの調整、そしてメインテナンス。
それぞれを考えながら、口の中全体を一つの治療計画として組み立てていく必要があります。
「家のリフォーム」に似ています
口の中全体の治療は、家のリフォームに少し似ています。
壁紙が少し汚れているだけなら、壁紙を張り替えれば済みます。
しかし、長年放置して、
「雨漏りしている」
「柱が傷んでいる」
「床が傾いている」
「水道管も古くなっている」
となれば、表面だけを綺麗にしても意味がありません。
まず壊れている部分を直し、家の土台を整え、その上で生活できる状態に戻していく必要があります。
口の中も同じです。
壊れているところを一つずつ治すだけではなく、口腔内全体を見て、再びしっかり機能できる状態まで立て直す必要があります。
さらに大変なのが「リハビリ」です
そして、治療が終わればすべて解決するわけではありません。
ここが非常に重要です。
長期間、しっかり噛めなかった患者さんの場合、歯を治して噛めるようにしたからといって、すぐに以前と同じように使えるとは限りません。
新しい歯や入れ歯に慣れる。
正しい位置で噛む。
食事をする。
舌や頬の動きを含めて、口をうまく使う。
そして、自分自身で毎日の歯磨きをしっかりできるようになる。
こうした「リハビリ」も必要になることがあります。
つまり、
治療する → 噛めるようにする → 使えるようにする → 維持できるようにする
というところまで考える必要があります。
歯科治療は「元に戻す」ことが難しい
もう一つ、知っておいていただきたいことがあります。
歯科治療は、医科の治療とは少し違い、一度失ったものを完全に元の状態へ戻すことが難しいという特徴があります。
削ってしまった歯は、元には戻りません。
抜いてしまった歯も、天然歯としては戻ってきません。
歯を失ってからインプラントや入れ歯などで機能を回復することはできますが、天然歯とまったく同じというわけではありません。
だからこそ、
「壊れてから治す」よりも「壊れないように守る」ことの方が圧倒的に大切です。
口の中が崩壊する前に
私たちが予防やメインテナンスを大切にしている理由はここにあります。
定期的に歯科医院に来ていただければ、小さな問題のうちに発見できます。
小さなむし歯なら、最小限の治療で済むかもしれません。
歯周病も、早い段階で対応できれば、歯を失うリスクを下げることができます。
そして何より、患者さん自身が毎日のケアを身につけることで、治療を繰り返さなくて済む可能性が高くなります。
口の中は、悪くなってから立て直すのは本当に大変です。
治療する側も大変ですが、何より大変なのは患者さん自身です。
何度も通院し、治療期間も長くなり、費用も大きくなり、治療後には新しい口の状態に慣れるための時間も必要になります。
だから私たちは、
「悪くなったら治す歯科医院」ではなく、 「できるだけ悪くならないように、一緒に守っていく歯科医院」
でありたいと考えています。
人生の質を口元から
歯は、単に「痛くなければいい」ものではありません。
食事を楽しむこと。
人と話すこと。
笑うこと。
自分らしく生活すること。
そのすべてに口元は関わっています。
だからこそ、口の中が崩壊してしまう前に、一度ご自身の口腔内を見直してみてください。
壊れてから立て直すのは大変です。
でも、早い段階から守っていけば、その大変さを減らすことができます。
私たちは、患者さんができるだけ長く自分の歯で食事を楽しみ、豊かな生活を送れるように、治療だけではなく、その後の予防まで含めてサポートしていきます。